最古の剣術流派の一つ「天真正伝香取神道流」02

日本剣術の魁

飯篠家直が創始した「天真正伝香取神道流」は、日本剣術のパイオニアだ。もちろん、家直以前にも日本には剣術が存在しており、彼自身も幼少期から香取・鹿島の地に伝わる剣の技術を学んで練習してきた。しかしながら、家直以前の剣術は、100人学べば100人全員が同じことができるような、体系的な技術として組み立てられていなかった。

家直は幼少の頃より学んだ剣の技術と戦場での経験を融合し、それらを体系化し統一的な技術体系を作り出した。この点において、彼と彼の流派は日本剣術の先駆者であると言える。

家直は、当時としては驚くべきことに102歳まで生き続けた。生涯で70回以上の木刀試合と3回の真剣勝負を戦い、一度も負けたことがない、伝説的な剣術の英雄だ。しかし、彼自身は普段から理性的で冷静な人物であり、自分の弟子たちに「武芸は人間の心であり道である。正しい心を持つことが大切だ。心の中が善であれば、武芸は人を助け世の中を平和にする。自分を完成された人間に近づける努力をし、その技術を他人のため、世界の平和のために使いなさい」と語っていたという。

彼は身分を問わず、多くの人々に自身の技術や知識を惜しみなく教え、多くの優れた弟子を育てた。彼がまいた日本剣術の種は、その後の日本武道の世界を豊かにし、そしていまも成長を続けている。

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